介護士の職場といえば介護施設をイメージする人も多いでしょう。介護施設で生活をしている高齢者の生活の援助、身体介護を行うのが介護施設で働く介護士の仕事です。
施設で暮らしている高齢者は介護度も重く、日常的な動作が出来ない、または困難な状況にいる方が多くいます。食事をしたり、お風呂に入ったり、トイレで用を足したり、といった日常的な生活動作が一人ではできません。その手助けをするのが介護職です。
単に手助けをすると言っても、その一つ一つに細心の注意が必要であり、専門性が要求されます。高齢や疾病などで身体機能が著しく低下している方にとっては、食べ物を咀嚼し飲み込むだけでも困難なことであり、一つ間違えば窒息してしまう恐れもあるからです。相手の身体の状況をよく注意深く観察し、のどぼとけの動きや舌の動きなど食べ物を飲み込んだサインを見逃さないようにしながら介助を行います。
また、ベッドから車いすに移乗させる際には、相手の身体の状況をよく把握しなければなりません。例えば、半身まひがある人を移動させる際は、介護士は必ずまひがある側に立たなければなりません。まひしている側には力が入らないため、その方向に倒れてしまう危険性があるからです。
食べ物を食べさせたりベッドから車いすに移したりという動作は一見すると誰にでも出来ることのように思う人もいるでしょう。しかし、他人の生命を預かる介護士は、その人の安全を守るために注意深い観察と確かな専門知識を身につけなければなりません。けして簡単な仕事ではないのです。