色彩効果を介護施設で取り入れるために知っておきたい知識として、空間設計の工夫が挙げられます。
第一に、空間の基調色です。天井や壁紙にはほとんどの場合で白が取り入れられているので、ぱっと見で白が目に付く場合も多いでしょう。
しかし介護では、真っ白な色は使わない方がよいと言われています。真っ白は清潔感があるけれど、高齢者の目には眩しく映るからです。
そのため、壁などの広い範囲には、オフホワイトのように色味がかった白が使用されています。施設の壁が真っ白な場合は、カーテンやシーツで彩りを与えることで、その範囲を狭めることができます。
第二に、手すりの色です。危険回避のために、壁との色の差をつけることはもちろんですが、できるだけ黒やグレーなどの無機質な色は使わないほうがいいでしょう。
特に、手すりには金属製の光るものは使用しないことです。窓から差し込む自然光や電灯が反射してしまうと、思わぬ事故につながることがあるからです。
高齢者が好みやすい温かみのある素材を使用することが向いています。施設が金属製の手すりの場合には、反射しにくいよう立ち位置でカバーするなど工夫してあげましょう。
第三に、照明器具の色です。寛ぐための空間に、青みがかった昼光色や昼白色はできるだけ避けなければなりません。青白い蛍光灯を使って勉強したという経験がある人も多いはず。このような色は、集中力を高めるには最適なのですが、冷たい印象を与えてしまう場合もあり、ゆったり落ち着くことはできません。
そのため、高齢者の部屋や談話室などには、オレンジがかった電球色を使うと安心してリラックスできます。青白い電球を使っている場合は、電球色の導入を提案してみましょう。